ラボグロウンダイヤモンド・合成ダイヤモンドとは?

Lab-Grown Diamond Ethical and Sustainable, Conflict-free

宝石名 合成ダイヤモンド
人工ダイヤモンド
ラボグロウンダイヤモンド
英名 Synthetic diamond
Lab-grown diamond
和名 合成金剛石
分類 非金属元素鉱物
化学組成 炭素 / カーボン
化学式 C
結晶系 等軸晶系
モース硬度 10
靭性 7.5
劈開性 4方向に劈開
比重 3.51-3.52
屈折率 2.41-2.42
分散度 0.044
光沢 金剛光沢
カラースケール D-E-F / カラーレス
G-H / ベリー・ニア・カラーレス
I-J / ニア・カラーレス
K-M/ フェイント
N-R/ ベリーライト
S-Z/ ライト
ファンシーカラー ピンク、ブルー
レッド、グリーン
パープル、オレンジ
イエロー、ブラウン
ブラック

ラボグロウンダイヤモンドとは?

ラボグロウンダイヤモンドとは、ラボ=研究所で誕生した合成ダイヤモンドのことで、天然ダイヤモンドと化学特性・物理特性・光学特性・結晶構造が全て同じの本物のダイヤモンドです。

工場で生成されていることから、100%コンフリクトフリーダイヤモンドなので紛争ダイヤモンド問題とは無縁で、紛争のない平和な世界の実現のために貢献することができることから、エシカル・ダイヤモンド (Ethical Diamond)とも称されています。

ダイヤモンド採掘による自然破壊や環境汚染などの環境問題、労働者の健康被害や強制労働などの人権問題などといった、鉱山の抱える様々な問題に加担してしまうも心配のない、ギルトフリークリーンなダイヤモンドです。

また、次世代のために供給の持続が可能な素材のため、SDGsの取り組みに積極的なエシカルジュエリーのブランドから、サスティナブルな素材として支持されサスティナブル・ダイヤモンド (Sustainable Diamond)とも呼ばれています。

ダイヤモンド合成の技術の発展と進歩により品質は数十年で格段に上がった一方で、生産効率の向上などにより製造コストは年々下がっていることから、同じ4Cの品質の天然ダイヤモンドと比較して、非常にリーズナブルな価格であることも注目されている理由の一つです。

天然ダイヤモンドではカラーダイヤモンドは希少価値が高いため大変高価ですが、ラボグロウンダイヤモンドはカラーダイヤモンドの製造も可能なため、ピンクダイヤモンドやブルーダイヤモンドといったカラーバリエーションも豊富です。

ラボグロウンダイヤモンドは、地球にも・人にも・お財布にも優しい、次世代のダイヤモンドとして、「Z世代」や「ミレニアル世代」などの若者世代を中心とした新しい価値観を持つ消費者から支持される動きが急速に広まり、その存在価値を一気に高めています。

「エシカル志向」や「サスティナブル消費」といった多様化する消費者ニーズの変化に応じた商品開発が求められる中、ジュエリー業界の新たなトレンドとして注目される新素材がラボグロウン・ダイヤモンドなのです。

ラボグロウンダイヤモンドの意味とは?名前について

「研究室」=「ラボ」で結晶が生成されたことから【ラボラトリー グロウン ダイヤモンド (Laboratory Grown Diamond)】または【ラボグロウン ダイヤモンド (Lab Grown Diamond)】※と呼ばれるようになりましたが、商業的に生産されるようになってからは、研究室ではなく工場で生成されています。

※【ラボ (Lab)】は「研究室」の意味を持つ名詞【ラボラトリー (Laboratory)】の略語、【グロウン (Grown)】は「成長する」の意味を持つ動詞「グロウ (grow)】の過去分詞。

このため、【ラボラトリー クリエイト ダイヤモンド(Laboratory Create Diamond)】または【ラボクリエイト ダイヤモンド(Lab Create Diamond)】※の名称で呼ばれることもあります。

※【クリエイト(Create)】は「(新しいものを)生み出す」を意味する動詞で、【Laboratory Create Diamond】は「研究所で生み出されたダイヤモンド」の意味。

合成ダイヤモンド】【人工ダイヤモンド】の英名の【シンセティック ダイヤモンド (Synthetic Diamond)】※とも呼ばれることもあります。

※【シンセティック(Synthetic)】は「合成の」「人工の」を意味する形容詞。

ジュエリーの刻印など限られたスペースに打刻する場合では、英名「Laboratory Grown Diamond」の頭文字から「LGD」の略称が用いられていることもあります。

ラボグロウンダイヤモンドは本物のダイヤモンド!?

ダイヤモンドは「ブリリアンス」※や「ファイア」※を伴って煌めく、「ダイヤモンド光沢」※と呼ばれる特徴的な輝き方を持った美しい宝石として広く知られていますが、このような見た目や輝き方などの外観的な特徴も【ラボグロウンダイヤモンド】は天然ダイヤモンドと全く同じなことから、プロであっても天然・合成を目視によって見分けることはできません

※「ブリリアンス」とは、宝石の表面や内部に入射した光が反射して見える白色光線の輝きのこと。

※「ファイア」とは、宝石の内部に入射した白色光線が屈折反射することにより分光された虹色の輝きのこと。

※「ダイヤモンド光沢」とは、入射した光を反射する角度を表す「屈折率」の数値が1.9以上を有する宝石に認められる物理的性質のことで、この特性はダイヤモンドの和名「金剛石」の名に因んで「金剛光沢(こんごうこうたく)」とも呼ばれています。

「ラボグロウン ダイヤモンド」は、鉱物分類は非金属元素鉱物、化学組成はC、炭素原子のみで組成されている鉱物で、熱伝導性が極めて高く、結晶系は等軸晶系、硬さを表すモース硬度は10と地球上の鉱物の中で最も硬く、ダイヤモンド光沢の源となる屈折率は2.41~2.42、輝きやファイアの源となる分散度は0.044と、化学特性・物理特性・光学特性・結晶構造のすべてが天然ダイヤモンドと同じなことから、カット済みのダイヤモンドのルースが天然宝石か合成宝石かを判別するためには専用の検査機器を使用する必要があります。

合成ダイヤモンド
化学組成 C
結晶系 等軸晶系
モース硬度 10
比重 3.51-3.52
屈折率 2.41-2.42
分散度 0.044
天然ダイヤモンド
化学組成 C
結晶系 等軸晶系
モース硬度 10
比重 3.51-3.52
屈折率 2.41-2.42
分散度 0.044

ラボグロウンダイヤモンドは偽物のダイヤモンド?

ラボグロウンダイヤモンドとダイヤモンド類似石との違いについて

2019年1月、東京ビッグサイトで開催された「国際宝飾展」に「ラボグロウン・ダイヤモンド」が続々と並び、宝飾業界の新しいトレンドとして注目を集めました。

2019年が日本においての合成ダイヤモンド元年であり、市場はまだ草創期といえます。

日本のジュエリー市場において「ラボグロウン・ダイヤモンド」が一般に流通するようになってからまだ歴史が浅いため、「キュービック・ジルコニア(CZダイヤ)」や「モアサナイト (モアッサナイト)」といった、「ダイヤモンド類似石」※と呼ばれる、他の合成宝石と同様に認識している方も多いのですが、「ラボグロウンダイヤモンド」は「本物のダイヤモンド」であり、イミテーションや偽物や類似石ではありません

※【ダイヤモンド類似石 (疑似ダイヤモンド)】とは、ダイヤモンドの色や質感などの外観特徴を模倣した宝石のことで、【イミテーション・ダイヤモンド】【ダイヤモンド代替石】【ダイヤモンド代用石】などとも呼ばれます。

(ダイヤモンド類似石の一例)
モアサナイト、キュービックジルコニア(CZダイヤ)、ホワイトジルコン、ホワイトサファイア、ホワイトトパーズなど。

モアサナイト
化学組成 SiC
結晶系 六方晶系
モース硬度 9.25-9.5
比重 3.21-3.22
屈折率 2.65-2.69
分散度 0.104
キュービックジルコニア
化学組成 ZrO2+α
結晶系 等軸晶系
モース硬度 8.0-8.5
比重 5.50-6.00
屈折率 2.16-2.17
分散度 0.060
ジルコン
化学組成 ZrSiO4
結晶系 等軸晶系
モース硬度 6.5-7.5
比重 3.90-4.73
屈折率 1.81-2.02
分散度 0.039
サファイア
化学組成 Al2O3
結晶系 三方晶系
モース硬度 8.5-9
比重 3.98-4.06
屈折率 1.74-1.77
分散度 0.011
クリスタルクォーツ(水晶)
化学組成 SiO2
結晶系 三方晶系
モース硬度 7
比重 2.65-2.70
屈折率 1.54-1.56
分散度 0.013

ラボグロウンダイヤモンドの歴史

1954年12月16日、アメリカの化学者「ハワード・トレイシー・ホール」がGE※の研究所内でベルトプレス型アンビルという装置を用いたダイヤモンドの合成を成功させると、後日に同僚の化学者によって再現が証明され、これが世界初となる再現性のあるダイヤモンド合成法の確立と認められ、1955年2月にGEは世界初となる商業的な「合成ダイヤモンド」の製造を発表しました。

※「ゼネラル・エレクトリック・カンパニー (略称:GE)」は発明家の「トーマス・エジソン」が設立したアメリカ企業であり、世界最大の総合電機メーカー。

【合成ダイヤモンド】は「研究室」=「ラボ」で結晶が生成されることから【ラボ グロウン ダイヤモンド】と呼ばれるようになりましたが、商業的に生産されるようになってからは、研究室ではなく工場で生成されるようになりました。

この当時の【ラボ ロウン ダイヤモンド】は宝飾用に使用するには小さな結晶だったため、主にレーザー光学や研磨剤など産業用途に使用されました。

1970年代になり、GEは宝飾用途に使用できる、カットを施すことが可能なサイズの結晶の生成をはじめました。

その後、宝飾用途と産業用途の両方を目的として、世界各国の多くの企業が【ラボグロウン ダイヤモンド】を製造するようになっていきました。

1980年代には、商業的に宝飾用の結晶が生成されるようになりましたが、ほとんどは小粒で黄色または茶色がかったカラーグレードのもので、まだ生成プロセスにかかるコストが高く、天然ダイヤモンドよりも高値で取り引きされていたといいます。

技術は数十年間で目覚ましく向上し、1990年代半ば頃には結晶育成技術の向上により品質が大幅に改良され、より大きな結晶も生成可能になりました。

2010年代半ばには、より純度の高い無色透明の【ラボグロウン ダイヤモンド】が一般のジュエリー市場で流通するようになりました。

2018年7月、「アメリカ連邦取引委員会(日本の消費者庁にあたる政府の機関)」がジュエリーガイドを改訂し、それまでは天然のみに認められていたダイヤモンドの定義を変更し、【合成ダイヤモンド】を【本物のダイヤモンド】と称して販売することが正式に認められました。

この流れを受けて、世界最大の宝石鑑別・鑑定機関の「GIA」※は、消費者が【ラボラトリーグロウンダイヤモンド】を自信を持って購入することができるように、2019年7月より合成ダイヤモンド用のグレーディングレポート【GIA Laboratory-Grown Diamond Reports】を発行することを決めました。

※【GIA (ジェモロジカル・インスティテュート・オブ・アメリカ)】とは、宝石学の教育機関、鑑別・鑑定機関、更に鑑定に関する研究を行う研究所を運営する独立非営利組織で、世界的に宝石学の権威として認められています。1950年代には【4C (カラー、クラリティ、カット、カラット重量】を考案しました。

これにより、【合成ダイヤモンド】を天然ダイヤモンドと同じスケールの【4C (カラー、クラリティ、カット、カラット重量】で評価できるようになり、高クラリティ (IF/ VVS / VS)、カラーレス (D / E / F) の【ラボグロウン ダイヤモンド】の需要がより高まることとなりました。

急速な技術の発展と進歩により、高純度の【ラボグロウン ダイヤモンド】の生成が可能になった一方で、生成プロセスに必要なコストは下がり続けることが予想され、今後メレ(0.1ct未満の小粒石)サイズの天然ダイヤモンドの需要は【合成ダイヤモンド】に取って代わられるともいわれています。

【ラボグロウン ダイヤモンド】の生産量は年々上昇しており、市場が拡大するにつれ「ダイヤモンドは希少で高価なもの」とする従来の価値観が変化していくことは避けられないものとも考えられています。

Should You Buy a Lab Grown Diamond or a Natural Diamond

ラボグロウンダイヤモンドの製造方法

天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの違いとは?

【合成ダイヤモンド】の製造に主に用いられている製法には【HPHT法】と【CVD法】があり、共に技術の精度が高く、高純度で無色透明の【ラボグロウン ダイヤモンド】の生成が可能です。

天然ダイヤモンドは結晶が生成されるまでに何百万年~何十億年もの時間がかかるところ、【HPHT法】や【CVD法】で生成される【ラボグロウンダイヤモンド】はたった数週間~数カ月でカット可能なサイズの結晶に成長します。

高速成長によって生じた積層成長の痕跡は合成結晶の中に刻み込まれることから、それを手がかりに天然・合成を識別することも可能です。

(注) 結晶中の成長痕は宝飾ルーペ等で確認できるものではなく、光学特性が全く同じな天然ダイヤと合成ダイヤを見た目や輝きなどの外観特徴で見分けることはできないため、天然・合成を判別するためには専用の検査機器を使用する必要があります。

HPHT ダイヤモンドとは?HPHT法とは?HPHT処理とは?

「HPHT ダイヤモンド」とは「HPHT法」=「高温高圧合成法」で生成された「合成ダイヤモンド」のことです。

※【HPHT(エイチピーエイチティ)】とは、【High-Pressure(高圧)、High-Temperature(高温)】の英語の頭文字をとって省略した名称。

【HPHT法】とは、天然のダイヤモンドが地中で形成される条件と同じ、地球深部のような超高圧(5~6GPa)かつ超高温(1300~1600度)を再現する装置内で、「鉄」「ニッケル」「コバルト」などの溶媒金属から成る溶融フラックスに溶解させたグラファイト等の「炭素(カーボン)」を、装置内にセットした小さなダイヤモンド種結晶の上に堆積させてダイヤモンドの結晶を生成する製法です。

【HPHT ダイヤモンド】には、溶融フラックスに用いた溶媒金属に起因する暗色のインクルージョンが含まれていることもあり、金属インクルージョンを内包するものは、強力な磁石に対して磁性を示すこともあります。

(注) 天然ダイヤモンドや【CVDダイヤモンド】が磁性を示す例は極めて稀であり【HPHT ダイヤモンド】の特徴ともいえますが、この特性は金属インクルージョンを内包する場合のみで、クラリティの高い【HPHT ダイヤモンド】が磁性は示すことはありません。

【HPHT法】はグレードの低いダイヤモンドの品質改善を目的とした処理にも用いられています。

天然・合成にかかわらず、ダイヤモンドの色を無色、ピンク、ブルー、イエロー、グリーン、レッド、その他のファンシーカラーへの色変化させる目的でも使用され、その効果には恒久性があります。

天然ダイヤモンドに【HPHT処理】が施されている場合には、人の手によって加工された「処理石」という扱いになるため、無処理の天然ダイヤモンドと比較すると、価値の評価は低くなります。

CVDダイヤモンドとは?CVD法とは?LPHT処理とは?

「CVDダイヤモンド」とは「CVD法」=「化学気相成長法」で生成された「合成ダイヤモンド」のことです。

【CVD法】とは、約900~1200度の高温に加熱された「生成チャンバー」と呼ばれる装置内に「炭素含有ガス」と「水素」を充填し、マイクロ波ビームなどのエネルギー源を照射することで炭素含有ガスの分子を分解して「炭素(カーボン)」を析出させ、ダイヤモンド種結晶の上に3Dプリンターのようにダイヤモンド結晶の炭素原子の薄膜を堆積させて結晶を生成する製法です。

チャンバー内の【CVDダイヤモンド】は数日ごとに一旦取り出され、結晶の上面を研磨してダイヤモンドではない炭素を取り除き、再びチャンバー内に戻して再稼働させる、というサイクルを数回繰り返すことでダイヤモンド結晶を成長させていきます。

【CVD法】では結晶の成長速度を早めるために意図的に微量の窒素を添加することありますが、高速成長の結果、結晶中に不純元素として窒素が取り込まれると黄色みや褐色を呈する原因になってしまいます。

このため、CVD合成後に窒素を除去して色改善する目的で、再度チャンバー内にセットし、水素プラズマで満たした状態で1400~2200℃に加熱して色変化させる【LPHT処理】が施される場合や、CVD合成後に色を変化させる目的や、「靭性の改善」および「結晶欠陥の軽減」等の品質向上させることを目的として【HPHT処理】が施される場合があります。

Mining is the extraction of minerals.

エシカルダイヤモンドとは?

ラボグロウンダイヤモンドはサスティナブルなダイヤモンド

映画「ブラッド・ダイヤモンド」でも描かれた「紛争ダイヤモンド」の問題や、ダイヤモンド採掘が自然環境や労働者に与える悪影響の問題など、天然ダイヤモンドを巡るネガティブな話題が広まったこともあり、「ラボグロウンダイヤモンド」が「紛争を起こさない」「人権侵害に加担しない」「自然環境を破壊しない」等の側面から「クリーンなダイヤモンド」と評価され、商品の倫理性に敏感になっている新しい価値観を持つ「Z世代」や「ミレニアル世代」から支持される動きが急速に広まり、「エシカル ダイヤモンド」「サスティナブル ダイヤモンド」として、その存在価値を一気に高めています。

その流れで、既にジュエリー市場に流通していた「合成モアサナイト」「合成エメラルド」「合成アレキサンドライト」「合成ルビー」「合成サファイア」「合成スピネル」などの、合成ダイヤモンドが流通するよりも以前から一般市場に流通していた他の「合成宝石 (人工宝石)」も「エシカルな宝石」「サスティナブルな宝石」として再評価されるようになりました。

「エシカル志向」や「サスティナブル消費」といった多様化する消費者ニーズの変化に応じて誕生した「エシカル ジュエリー (エシカル アクセサリー)」「サスティナブル ジュエリー (サスティナブル アクセサリー)」といった新しいジャンルを確立した新鋭ブランドが注目を集める中、「ラボグロウン・ダイヤモンド」は「エシカルでサスティナブルな素材」として評価され、「エシカルダイヤモンド」「サスティナブルダイヤモンド」と称されて、新時代の宝石として需要が高まってきています。

これから「Z世代 (1990年代後半から2000年代に生まれた世代)」が結婚適齢期に差し掛かることから、若者世代に向けて「ラボグロウン・ダイヤモンド」を足がかりに、アパレル系などの他業種から誕生した新しいジュエリーブランドがブライダルジュエリー市場に新規参入する動きも加速しています。

全世界におけるダイアモンド・ジュエリーの売上の3分の1近くを占めているといわれる婚約指輪・結婚指輪に、今後は天然ダイヤモンドに代替して「ラボグロウンダイヤモンド」が選ばれるようになってくるのか、ブライダル需要における消費者動向の変化にも注目が集まっています。

紛争ダイヤモンドとは?

宝石を扱う業者内で必然的に話題に出てくる映画といえば「ブラッド ダイヤモンド」です。

「ブラッド・ダイヤモンド」は2006年に公開された「レオナルド・ディカプリオ」主演のアメリカ映画で、ジャーナリストであり作家の「グレッグ・キャンベル」が2002年に出版した書籍「Blood Diamonds」を原作とした「紛争ダイヤモンド(コンフリクト・ダイヤモンド)」を巡るサスペンス映画です。

映画のストーリーは1991年~2002年に起こった西アフリカのシエラレオネ共和国の内戦・紛争を舞台としたフィクションですが、反政府組織がダイヤモンド鉱山を軍事的に占拠し、地元民に強制労働を強いて採掘したダイヤモンドが武器を調達するための軍事資金源として不法に闇取引されている現実がリアルに描かれています。

この映画を通じて、紛争地域で産出される天然ダイヤモンドの一部が、内戦国の反政府組織の資金源として、武器を調達するための外貨獲得手段になっている実情や、鉱山での強制労働や児童労働、労働者への暴力、搾取による貧困など、天然ダイヤモンドに纏わる様々な問題を世界中の人々が知ることになりました。

このような、内戦地域の鉱山で産出し、紛争当事者の資金源となっている天然ダイヤモンドは「紛争ダイヤモンド」や「コンフリクト・ダイヤモンド」と呼ばれています。

内戦当事国に外貨が流れ込まないようにするために、「紛争ダイヤモンド」を取引の対象外にするなど、国際社会はこの問題に取り組むべきと考えられるようになり、「キンバリープロセス認証制度 (KPCS)」という天然ダイヤモンドの原石に原産地証明書の添付を義務付ける制度が国連で採択されるなど、国際的な取り組みにより市場から「紛争ダイヤモンド」を排除する動きが活発化しています。

現在、世界に流通する天然ダイヤモンドの99%以上が、産地や販売ルートの明確な「コンフリクトフリー・ダイヤモンド」とされていますが、天然ダイヤモンド原石のみを対象とする「キンバリープロセス認証制度」だけでは完全に「紛争ダイヤモンド」を排除するまでには至れず、合法的に採掘されたものであるかどうかを確実に証明することが難しいという問題が課題となっています。


View of Western quarry Vysokogorsky GOK in Kachkanar.

コンフリクトフリーダイヤモンドとは?

近年の【エシカル消費】の高まりによって「コンフリクトフリーダイヤモンド (Conflict-Free Diamond)」を取り扱うブランドが増えてきています。

「コンフリクトフリーダイヤモンド」とは、「紛争ダイヤモンド(コンフリクト ダイヤモンド)ではないダイヤモンド」のことです。

※英語で「紛争」を意味する「コンフリクト(Conflict)」に、「~を含まない」の意味を持つ接尾辞「フリー(-free)」で、「紛争~を含んでいない」の意味。

「紛争ダイヤモンド」に該当していなければ、天然ダイヤモンドでも合成ダイヤモンドでも「コンフリクトフリー ダイヤモンド」です。

長年、ダイヤモンドのを選ぶ際の重要なポイントは「4C 」の評価とされてきましたが、天然ダイヤモンドにおいては原産地の情報も取引価格に反映する評価の対象となってきています。

天然ダイヤモンドの原産地が注視されるようになった背景には、消費行動を通じ「紛争問題」「人権問題」「環境問題」などの世界が抱えている様々な課題の解決の一端を担うという「エシカル消費」志向や、「ギルトフリー(Guilt-free consumption)」と呼ばれる罪悪感の最小化に基づく消費のパターンなど、欧米や中国の若者世代を中心に世界に広がる新しい消費者行動の高まりにあります。

近年の【トレーサビリティ】※への関心の高まりを受けて、宝飾業界をリードする「GIA」は天然ダイヤモンドのグレーディングレポートに4Cと原産地を記載する新たな取り組みをはじめています。

※【トレーサビリティ】とは、商品の流通経路を原料の生産段階から最終消費段階または廃棄段階まで追跡が可能な状態にすること。

GIAがはじめた新しいサービスの「ダイヤモンド原産地レポート(Diamond Origin Report)」では、鉱山会社から密封された不正開封防止小包で送られてくる天然ダイヤモンド原石を分析・識別したデータと、研磨された後のルースを分析・識別したデータを照合し、原石を割り出すことでルースの原産地を特定し、ルースのガードルにシリアルナンバーを刻印し、対となるグレーディングレポートには4Cのほかに原産地が記載されます。

天然ダイヤモンドのルース一つ一つの原産地を明確にすることができる画期的なシステムではありますが、トレーサビリティのためのコストは、当然のことながらルースの販売価格に織り込まれることになるため、サイズの小さなルースほどコストが割高になるともいえます。

その点、「ラボグロウンダイヤモンド」はすべて「コンフリクトフリーダイヤモンド」なので、「紛争ダイヤモンド」が紛れている可能性は0%のため紛争問題とは無縁ですし、トレーサビリティのためのコストも必要ありません。

ラボグロウンダイヤモンドは地球にも優しいって本当?

天然ダイヤモンドには希少性からの資産的な価値と、悠久の時を経て自然が創り出した奇跡の結晶という情緒的な価値があり、これは合成ダイヤモンドで代替することができない天然ダイヤモンドの魅力といえることから、天然ダイヤモンドの価値は今後も失われることはないと考えられています。

一方で、天然ダイヤモンドを1カラット(=0.2グラム)を採掘するためには250トンもの土が掘り返されているともいわれており、天然ダイヤモンドの採掘自体が自然環境の破壊に大きな影響を及ぼしていることは以前から問題視されていました。

鉱山における環境破壊の問題では、鉱山開発のために山野が切り開かれることで原生自然が消失・荒廃してしまい、森林破壊が地球温暖化の原因になってしまうだけではなく、そこに生息する動植物などの生態系や現地の人々の生活ににまで影響が及んでいます。

採掘による粉塵や有害な化学物質などに曝される労働者の健康被害や、鉱山周辺地域への環境汚染などの問題もあります。

また、過去には地下核爆発により鉱山開発が行なわれた事例もあり、残留放射性物質によって土壌・水源が放射能汚染してしまったことで、被曝による健康被害の影響がダイヤモンドの採掘にあたる労働者のみならず鉱山周辺の住民にも及ぶことが懸念される状況が続いている地域もあります。

現在の技術では一度開発されてしまった鉱山跡の自然を再生することはできないことが指摘される中、工場で製造されている「ラボグロウンダイヤモンド」は天然ダイヤモンド採掘よりも自然環境への負荷が少ない点からも高く評価されており、合成ダイヤモンドが天然ダイヤモンドの需要に置き換わることで地球資源の制約や自然環境の維持や保全のために役立つとの考えが、様々な環境問題や人権問題について考慮・応援しながら消費活動を行う「エシカル消費」をリードする新しい価値観を持った若年層を中心に支持されるようになった背景もあり、「ラボグロウンダイヤモンド」の需要は今後も高まっていくことは間違いないといえます。

「ラボグロウンダイヤモンド」は次世代のために「供給の持続が可能」な「サスティナブルな素材」というメリットもあり、「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)」の略称で知られる「SDGs (エスディージーズ)」の観点からも「ラボグロウンダイヤモンド」を使用するエシカルジュエリーのブランドが増えています

ジュエリー業界の新たなトレンドとして注目される次世代の宝石「ラボグロウンダイヤモンド」を、新商品にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

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