9月の誕生石 サファイアの意味と石言葉

9月の誕生石 サファイア 青玉 蒼玉 september birthstone sapphire

■9月の誕生石、サファイアとは?

サファイアは9月の誕生石です。

サファイア(sapphire)とは、赤鉄鉱グループに属する鉱物「コランダム(corundum)」=「鋼玉(こうぎょく)」のうち、赤色系コランダムであるルビーの以外の鉱物の総称です。

コランダムの化学組成は、酸素とアルミニウムとの化合物である酸化アルミニウムの結晶で、化学式は Al2O3 、結晶系は三方晶系、モース硬度はダイヤモンドに次ぐ9で、劈開性が不明瞭のため靭性も高く、最も耐久性の高い宝石の一つとなっています。

サファイアはダイヤモンド、ルビー、エメラルドとともに「世界四大宝石」と呼ばれる「貴石(きせき)」です。

貴石とは特に高値で取引される宝飾的な価値の高い宝石のことで、「プレシャス・ストーン(Precious Stone)」とも呼ばれるのに対して、貴石以外の宝石は「半貴石(はんきせき)」や「セミ・プレシャス・ストーン(Semi Precious Stone)」と呼ばれています。

単にサファイアと呼ぶ場合は、通常はブルーサファイアを指すため、青と赤以外のコランダムは「ファンシーサファイア」と呼ばれています。

ファンシーサファイアは、色相によってピンクサファイア、グリーンサファイア、イエローサファイア、オレンジサファイア、パープルサファイア、バイオレットサファイア、ホワイトサファイア(カラーレスサファイア)などとも呼ばれています。

ファンシーサファイアはブルーサファイアよりも産出量が少ないうえ、比較的小さなものが多く、大きなサイズのものは稀少です。

■サファイアの色について

サファイアの色合いは、青色系(ブルー、コバルトブルー、ティールブルー、スカイブルー、アイスブルー)、赤色系(ピンク、オレンジピンク、チェリーピンク、ホットピンク、ネオンピンク)、紫色系(パープル、バイオレット、ラベンダー)、緑色系(グリーン、ブルーグリーン、ミントグリーン)、橙色系(オレンジ、ピンキッシュオレンジ、レディッシュオレンジ)、黄色系(イエロー、ゴールデンイエロー、レモンイエロー)、ブラウン、ブラック、無色透明(カラーレス)、半透明(ミルキー)など多彩です。

不純物の非常に少ない純粋なコランダムは無色透明で、ホワイトサファイアやカラーレスサファイアの名で流通しています。

無色透明のコランダムは高い屈折率により強い煌めきを示す美しい宝石ですが、ダイヤモンド以外では無色の宝石の需要は低いため安価な価格で流通しています。

■サファイアとルビーの違いについて

過去にはサファイアとルビーが別々の鉱物と考えられてきた時代もありますが、サファイアは鉱物学的にはルビーと同じ鉱物のコランダムで、現在ではルビー以外のコランダムはサファイアと呼ばれています。

純粋なコランダム(酸化アルミニウムの結晶)は無色透明ですが、結晶内に取り込まれる金属の微量元素の不純物の含有量により、色調や色の濃淡が変化し、これにより宝石としての評価も変化します。

コランダムはクロムが取り込まれると赤色を呈し、鉄とチタンが取り込まれると青色を呈します。

赤色系のコランダムはルビーに分類されますが、サファイアにも赤色系のピンクサファイアやレッドサファイアがあります。

コランダムが1%程度の微量のクロムを含有すると、価値の高い深紅色のルビーとなり、0.1%程度の場合はピンクサファイア、5%以上では灰色になってしまうため宝石としては扱われず、「エメリー鉱(えめりーこう)」と呼ばれ、主に工業用の研磨材として用いられます。

限りなくルビーに近いピンクサファイアと、限りなくピンクサファイアに近いルビーは、その区別は困難になりますが、明らかにルビー或いはピンクサファイアと断定できる色合いのルースの場合は価格も全く異なりますが、どちらに分類するか区別し難いような色合いのルースの場合は、価格もルビーとピンクサファイアの中間程になるため、あまり問題はありません。

レッドサファイアとして流通するものは、一見するとルビーのような深い色合いを持っているものがありますが、ルビーのようなクロム系の赤色ではなく、濃いオレンジサファイアといったレディッシュオレンジの色相です。

■レアストーンのパパラチアサファイアとは?

ファンシーサファイアの中でも、ピンクとオレンジの比率がほぼ半々の美しい色合いのサファイアは、産出国のスリランカ人から「蓮の花」を意味するシンハリ語「パパラチア」や「パパラチャ」の名で呼ばれる稀少な宝石です。

このパパラチアサファイアは「サファイアの王(King of Sapphire)」とも呼ばれる、世界中で非常に人気のある宝石ですが、産出量が極めて少ないために幻の宝石とも呼ばれており、貴石よりも高値で取引される「稀少石」※です。

※貴石よりも稀少性の高い宝石は「稀少石」や「レアストーン(Rare Stone)」と呼ばれています。

レアストーンの一例:アレキサンドライト、ベニトアイト、グランディディエライト、パライバトルマリン、パパラチアサファイア、インペリアルトパーズ、ビクスバイト(レッドベリル)、デマントイドガーネット、アウイナイトなど

■スターサファイアとは?

スターサファイアとは、半球形のカボションカットのサファイアの宝石の表面に、アスタリスク(アステリスク)のような放射状の星模様の明るい光の筋が浮かび上がる「スター効果」という光学現象のみられるサファイアの変種です。

スター効果とは、宝石に入ってきた光に、宝石の内部に平行に並んだルチル(針状結晶)のインクルージョン(内包物)が反射して、カボションカットのドーム型の表面がレンズの働きをして焦点を結ぶようになり、複数の線状に反射する明るい光の筋が出現する光学現象のことで、「アステリズム効果(asterism)」や「星彩効果」とも呼ばれます。

ルチルのインクルージョンが二方向の場合で四条星、三方向の場合で六条星、四方向の場合で八条星のスター効果が現れます。

ルチルのインクルージョンが一方向の場合は光の筋が交差しないため、「キャッツアイ効果」や「シャトヤンシー」「変彩効果」などと呼ばれます。

■サファイアの意味・名前の由来

サファイアは歴史的経緯から、「青色」を意味するラテン語の「sapphirus(サッピルス)」、ギリシャ語の「sappheiros(サピロス)」に由来する名で呼ばれ、和名でも色に因んで「青玉(せいぎょく)」あるいは「蒼玉(そうぎょく)」と呼ばれています。

■サファイアの石言葉(宝石言葉)

サファイアの石言葉・宝石言葉は真実-誠実-慈愛-徳望です。

ブルーサファイアを身に着けると、冷静な洞察力、真理を見抜く力、真実を貫く勇気、的確な判断を与えてくれると伝えられています。

石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。

石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。

■サファイアの歴史

天空や宇宙の色を連想させるブルーサファイアは天を象徴する石や、最も神に近い神聖な石と伝えられ、古代より世界中の人々から永く愛されてきた歴史のある宝石です。

古代ギリシャや古代ローマの王族たちは、ブルーサファイアが羨望や危害から守ってくれると信じていました。

古代より「聖人の石」や「哲学者の石」と伝えられてきたブルーサファイアは、中世ヨーロッパでは聖職者や賢者にふさわしい石と考えられ、法王や教皇や司教らが「聖職者の印」としてサファイアの指輪を身に着けていました。

ブルーサファイアの指輪をはめた教皇や司教の手で触れることで、天の恵みを受け、慈悲を与え、病を癒し、悩みや苦しみから救われると信者たちは信じていました。

「東方見聞録」で知られる「マルコ・ポーロ」は12世紀末にアジア各地を旅したヴェネツィア共和国の商人ですが、モンゴル帝国の宮廷に行く際には献上物としてサファイアを携えたそうです。

モンゴル帝国の皇帝「フビライ・ハン」はそのサファイアの美しい輝きに魅了され、マルコ・ポーロを好意的に待遇されたそうです。

東方見聞録には、セイロン島で良質なサファイアやルビーが採れることも記されています。

■英国王室のサファイアの婚約指輪

献身と高潔さの象徴とされてきたサファイアは、古くから王族と所縁のある宝石であり、ロイヤルファミリーの多くが婚約指輪に選んできた宝石の一つです。

1923年にヨーク公アルバート(ジョージ6世)が現イギリス連邦王国女王のエリザベス2世の母であるエリザベス・ボーズ=ライアン(エリザベス王太后)にプロポーズしたときに贈った婚約指輪は、オーバルシェイプのサファイアにダイヤモンドがアクセントになったものでした。

1973年にプリンセス・ロイヤル・アンがミュンヘン五輪金メダリストでもあるマーク・フィリップス陸軍少尉からプロポーズされた際に贈られた婚約指輪は、スクエアカットのサファイアのサイドにダイアモンドがあしらわれたものです。

■ダイアナ元妃のサファイアのエンゲージリング

1981年にチャールズ皇太子がダイアナ元妃に贈った婚約指輪は、14粒のダイヤモンドに囲まれた12カラットのセイロン産のオーバルシェイプのブルーサファイアがあしらわれたものでした。

ダイアナ元妃の婚約指輪は、歴史を象徴するジュエリーのひとつともなっています。

この婚約指輪は英国王室御用達のハイジュエラーの「ガラード」のサンプルからダイアナ元妃が自らセレクトした指輪でしたが、ロイヤルメンバーの婚約指輪としては異例ともいえる既製品の指輪であったことから、英国王室からは反感を買ってしまいましたが、後に国民のプリンセスと呼ばれたダイアナ元妃らしい、古いしきたりにとらわれた堅苦しい英王室のイメージを一新し、新しく生まれ変わった英王室を象徴する婚約指輪となりました。

ダイアナ元妃の婚約指輪がメディアに報じられると、サファイアの婚約指輪は瞬く間にトレンドにもなりました。

現在この婚約指輪はダイアナ元妃から同妃の義理の娘のキャサリン妃へと受け継がれています。

2010年に婚約を発表したウィリアム王子はキャサリン(ケンブリッジ公爵夫人)にこの婚約指輪を贈りプロポーズしました。

ウィリアム王子は、母とこの日の喜びを一緒に分かちあえるように、という思いから母ダイアナ元妃から受け継いだサファイアの婚約指輪を選んだと語っています。

■結婚23周年は青玉婚式

サファイアは結婚23年目の結婚記念日を祝う青玉婚式(せいぎょくこんしき)の宝石です。

サファイアは青色の宝石というイメージがありますが、赤色以外の色であれば、どんな色でも揃う程にカラーバリエーションが豊富な宝石です。

サファイアをあしらったジュエリーやアクセサリーは種類が豊富で、好みのデザインのものも見つかりやすいので、選ぶ過程も楽しみとなります。

色で迷った場合には、定番のブルーサファイアをおすすめします。

サファイアには誠実や慈愛などの石言葉があります。

長年にわたって誠実さと慈愛で結婚生活を続けてこられたことを祝う記念日に、サファイアはふさわしいシンボルになります。

■コランダムの産地について

コランダムの主要な産地は、ビルマ、タイ、カンボジア、ベトナム、インド、スリランカ、オーストラリア等で、アジア地域に偏在しています。

近年になり、アフリカ東海岸地域のケニア、タンザニア、モザンビーク、マダガスカル等でも上質のコランダムが採れるようになりました。

インドはコランダムを大量に産出していますが、不純物が多く、暗い色調で透明度の低いものが多いため、ビーズ等に加工されるなど、主にアクセサリー用途になります。

コランダムの原石のほぼ全てがタイやスリランカで研磨、加工されています。

■コランダムとスピネル

コランダム(サファイア、ルビー)とスピネルは成分・成因が良く似ていることから産地と産状もほぼ重なることや、外観特徴だけではなく、比重や屈折率などの化学特性においても極めて近似していたため、1783年にフランスの鉱物学者「ジャン・バティスト・ルイ・ローマ・デ・ライル(Jean Baptiste Louis Rome de Lisle)」によって、両者が別の鉱物であると世界で初めて鑑別されるまで、永きにわたりコランダムとスピネルは同一の宝石として扱われてきました。

スピネルの産出量はビルマではコランダムの約5分の1、パキスタンでは約10分の1程ともいわれ、スピネルはコランダムよりも稀少な宝石ですが、長年コランダムの代替品として扱われてきたこともあり、最も過小評価されてきた宝石の代表格となっていました。

しかしながら、近年になりスピネルはコランダムとは似て非なる魅力を湛える宝石として評価されるようになり、レッドやピンク、ブルーのスピネルの人気が欧米を中心に高まってきています。

その背景には、非加熱のコランダムは稀少性の高さから非常に高値で取引されていることにあります。

非加熱のスピネルは、非加熱のコランダムに比べて市場価格が安価なことから、狙い目の宝石として注目されたためです。

近年では、スピネルの価格は大きく高騰しており、加熱処理が施された天然スピネルも少なからず市場に流通するようになってきています。

■コランダムのカラーゾーニング

「カラーゾーニング(色分布)」とは主に結晶中にみられる「色溜まり」のことで、見方によっては色むらとも言えますが、一般的には斑(まだら)ではなく、色が一部に集中した帯状に見えるものが多いことから「カラーバンド(色帯)」とも呼ばれています。

カラーゾーニングはあまり目立たないものから、肉眼でもはっきりと見えるものまで様々です。

カラーゾーニングを特徴に持つ宝石はコランダムのほかにトルマリン、シトリン、アメシストなどがあります。

カラーゾーニングが起こる要因としては、宝石の原石となる結晶が長い年月をかけて地中でゆっくりと成長していくことにあります。

宝石は金属の微量元素を不純物として結晶中に取り込むことで様々な色を呈しているのですが、結晶は成長スピードが大変遅いことから、長い年月をかけて結晶が形成される間に地中の環境が変化してしまうことが度々あり、地中の温度に変化が生じたり、取り込まれる微量元素の量や種類が変化してしまうために起こります。

■コランダムの加熱処理について

天然に産出するコランダムの原石は、色ムラのあるものや、淡いパステル・カラーのものが圧倒的に多く、天然のままの原石はあまり美しくないものが大半のため、本来の美しさを引き出すために加熱処理が施されています。

原石に加熱処理を施すと、色鮮やかに発色し、色が引き締まり、色ムラが均一化され、見映えが一段と改善されます。

逆に色が濃過ぎる場合には、大量に含有している金属元素を酸化させて除去することで色を薄くすることも可能です。

加熱処理後の結晶は極めて安定していて、発色は半永久的に保たれます。

宝飾品向けの宝石では、均一な色合いや、色の濃いものが好まれる傾向にあるので、産出するコランダムの原石の大半にはこうした処理が施されています。

加熱処理によって全ての原石が美しく変化する訳ではありませんが、原石の60~80%と高い比率で色や透明度が改善されるといいます。

宝石の島とも呼ばれる世界有数の宝石の産地スリランカでは、色が淡く透明度の低いコランダムを「白濁した」という意味のシンハラ語「ギウダ」の名で呼び、現地では砂利として庭園などに敷き詰める等に利用されていましたが、加熱処理技術の発達によって美しい宝石へと変身し、市場に流通するようになりました。

サファイアが比較的に手頃な価格で流通するようになった背景には、この加熱処理技術の発展により、飛躍的に供給量が増えたためです。

■コランダムの希少性について

未処理のままで、色が濃く、インクルージョン(内包物)の少ない、クラリティ(透明度)の高い結晶ほど高品質のコランダムと評価されます。

加熱処理が施されたコランダムにはあまり資産性がない一方で、未処理のコランダムは稀少性の高さから非常に高値で取引されています。

無処理で色が濃く鮮やかで、インクルージョン(内包物)の少ない、クラリティ(透明度)の高い上質なブルーサファイアやルビーともなると、その価格は別格です。

天然に産出するコランダムの結晶は、1~2cm程の不透明な結晶片が大半で、宝石質の結晶は米粒のようなサイズのため、カットしても殆どが1カラット以下で、インクルージョン(内包物)の多い小さなルースしか得られません。

サファイアやルビーはエメラルド同様に大きなサイズの美しい結晶が得られないため、5カラットを超える良質のルースは極めて稀で、10カラット以上ともなるとダイアモンドをも遥かに凌ぐ価値があります。

■コランダムの鉛ガラス含浸処理について

宝石の原石の大半はインクルージョン(内包物)が多く、不透明で宝石質ではありません。

このため、インクルージョン(内包物)が多い・クラックやチップ(欠け)が見られる・クラリティ(透明度)が低い等、低品質の宝石の原石には、屈折率が近い鉛ガラスを充浸する処理が施されている場合もあります。

安価で流通している透明度の高いサファイヤ、ルビー、エメラルド等の多くは、この鉛ガラスを使った含浸処理が施されています。

鉛ガラス含浸処理が施された原石を研磨すると、透明度の高い美しい宝石質のルースに変貌します。

外観からは鉛ガラス含浸処理が施されているということは肉眼では全く分かりませんが、顕微鏡で内部を確かめると、鉛ガラスによる小さな気泡の混入が認められます。

鉛ガラス含浸処理が施されていても天然石であることに変わりはありませんが、価値としては低く評価されるため、主にアクセサリー用途に使われます。

本来、コランダムはモース硬度9と硬く、ジュエリー用として耐久性のある宝石ですが、鉛ガラス含浸処理の施されたものについては、硬度・靭性が低くなるため、取り扱いには注意が必要です。

■合成コランダム(合成サファイア)について

合成コランダムとは、工場で生成されたコランダムの合成宝石で、天然のコランダムと化学特性・物理特性・光学特性・結晶構造が全て同じの本物のコランダムです。

合成宝石は、濃く鮮やかな色合いで、インクルージョン(内包物)が少なく、クラリティ(透明度)の高い、高品質で美しい結晶を生成することができるうえ、大きなサイズの結晶も生成することができます。

天然宝石はピアス用やイヤリング用にサイズや形状、色を揃えてルースをペアにマッチングさせることは困難ですが、合成宝石の場合は容易にルースをペアにマッチングさせることが可能です。

※弊社オンラインショップにても、火炎溶融法(ベルヌーイ法)により生成された合成サファイアのルースを取り扱っております。

合成宝石は天然宝石と比べて手頃な価格で入手できるとあって、合理主義な価値観を持つ欧米では以前から人気のある宝石です。

合成宝石は工場で生成されていることから、宝石採掘による自然破壊や環境汚染などの環境問題、労働者の健康被害や強制労働などの人権問題などといった、鉱山の抱える様々な問題に加担してしまうも心配のない、ギルトフリーでクリーンな宝石です。

次世代のために供給の持続が可能な素材のため、SDGsの取り組みに積極的なエシカルジュエリーのブランドから、サスティナブルな素材として支持されています。

合成宝石は、地球にも・人にも・お財布にも優しい、次世代の宝石として、「Z世代」や「ミレニアル世代」などの若者世代を中心とした新しい価値観を持つ消費者から支持される動きが急速に広まり、その存在価値を一気に高めています。

■合成宝石の歴史について

合成宝石は、1902年にフランスの化学者「オーギュスト・ヴィクトル・ルイ・ベルヌーイ」が「ベルヌーイ法(火炎溶融法)」と呼ばれる合成方法を開発したことにより、史上初めて商業的に生産されるようになりました。

ベルヌーイ法による合成コランダムは本物に見えないほど美しく、また生産コストが非常に安価であったことが災いして、宝石用途としての人気が高まることはありませんでしたが、精密機器やエレクトロニクス等の分野においての需要が高いため、年間生産量2万トン程が産業用途に生産されていると言われています。

現在もベルヌーイ法は合成コランダムや合成スピネルの合成法における主要な製造法の位置を保ち続けています。

1957年にはアメリカの研究所「ベル研究所」が「水熱合成法」と呼ばれる合成方法を、1958年にはアメリカの化学者「キャロル・チャザム」が「フラックス法(融剤法)」と呼ばれる合成方法を開発しました。

しかしながら、ベルヌーイ法では200カラットの結晶の合成に要する時間は3時間程ですが、フラックス法ではベルヌーイ法の20~100倍もの時間が掛かるうえ、大量のインクルージョンやクラックを含みます。

時間と手間がかかり、生産性の低いフラックス合成法による合成コランダムは、商業的に採算が採れないビジネスではありますが、色合いと適度の不透明さが天然の最上のコランダムと酷似した特徴を示すため、高級な宝飾品用途での需要があります。

1917年にはポーランドの化学者「ジャン・チョクラルスキー」が「チョクラルスキー法(引き上げ法)」と呼ばれる合成方法を開発しました。

チョクラルスキー法による合成ルビーは極めて純度の高い、欠陥の少ない単結晶が得られることから、ベルヌーイ法による結晶よりも、より高品質な結晶が必要とされる半導体産業において多く利用されています。

日本企業ではキョーセラ社が宝飾用に合成宝石を生産販売しています。

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