今回は久しぶりに北海道の観光名所「小樽芸術村・旧三井銀行小樽支店」についてご紹介させていただきたいと思います。
北海道小樽市の新観光名所「小樽芸術村」は、インテリア家具の小売業大手で北海道を代表する企業「ニトリホールディングス」が開設した美術館で、小樽市指定の有形文化財や歴史的建造物を使用して、北海道の歴史や文化をはじめ、時代背景にあった世界の芸術に触れることができる複合的な施設となっています。
「小樽芸術村」は20世紀初頭に建造された以下の4棟の建物からなる複合施設となっています。
「旧北海道拓殖銀行小樽支店」
1923年に北海道拓殖銀行小樽支店として建てられた鉄筋コンクリート造・4階建の建物。小樽市指定歴史的建造物第31号。現在は「似鳥美術館」として使用されています。
「旧三井銀行小樽支店」
1927年に旧三井銀行小樽支店として建てられた鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造・地上3階地下1階の建物。小樽市指定有形文化財第9号。2017年9月より公開されています。
「旧高橋倉庫」
1923年に大豆を収める倉庫として建てられた木骨石造・2階建の建物。小樽市指定歴史的建造物第51号。現在は「小樽芸術村ミュージアムショップ」として使用されています。
「旧荒田商会」
1935年に荒田商会の本店事務所として建てられた木造・2階建の建物。小樽市指定歴史的建造物第52号。現在は「ステンドグラス美術館」として使用されています。
北海道は明治に入ってから開拓された地域のため、歴史的価値のある建造物が少ないのですが、小樽市には明治、大正、昭和初期の建造物が現在も数多く残されているので、北海道の歴史を感じることができる街として、通年観光で賑わっています。
「小樽芸術村」のある北海道小樽市は、明治末期から昭和初期にかけて北海道開拓の最も重要な港湾として位置づけられた地域で、小樽市の市街地の中心の色内町には最盛期で25行もの銀行が建ち並んでいたことから「北のウォール街」として北海道経済発展の礎を築いた歴史がありまして、現在も当時の繁栄の様子がうかがえる建物が、そのままの姿で残されています。
2017年9月から公開された「旧三井銀行小樽支店」は小樽市が「北日本随一の経済都市」として繁栄したその英華を象徴するような建造物の美しさが楽しめる歴史薫る建物です。
1927年10月の竣工以来、2002年11月15日に三井住友銀行小樽支店が閉店するまで銀行として使用されてきましたが、日本の建築史においても重要な建物として2017年2月20日に小樽市指定有形文化財第9号に指定されました。
「旧三井銀行小樽支店」は日本の近代建築をリードした曾禰達蔵率いる曾禰中條事務所により設計された代表的な近代建築の一つで、イタリアのルネッサンス様式をアレンジしながら、関東大震災の教訓から耐震技術を取り入れた、小樽市で初めての鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建物なのだそうです。
三井銀行小樽支店として創建した当時の状態を保つように保存・修復されてきているそうで、当時の最先端の建築技術とモダンな装飾に歴史を感じることができる建物となっていまして、デザインした建築家・職人の想いが時代を越えて伝わってくるようでした。
建物正面は5つのアーチが連なる花崗岩を使用した重厚な石積みで飾られた外壁と、軒には細かな彫刻が施された古典的なルネサンス様式の外観、中に入ると目を奪われる石膏彫刻の模様が美しい真っ白な天井に吹き抜ける回廊が巡り、大理石のカウンター、タイルやリノリウムの床、気品漂う照明器具、二階の応接室・会議室には当時の貴重な家具や調度品、重厚な鉄の扉で守られた金庫などなど、その素晴らしさには目を見張るものがありました。
地下にある貸金庫室は、夏になると壁が冷えて結露が発生してしまうため、結露を受けるための回廊が設置されていました。この回廊内には防犯のための合わせ鏡が設置されていたのですが、この合わせ鏡、どの位置に人が立っていても映り込むのですが、自分の姿は映すことができないのが不思議で、しばらくはどうにか自分の姿を鏡に映そうと粘ってしまいました。
30分に一回の約8分、天井全面を使ったプロジェクションマッピングも常設上映されています。札幌在住の映像作家・馬場ふさこさんによる日本の四季を表現した映像と、石膏造りの美しい天井の模様とのコラボレーションを楽しむことができます。
小樽芸術村 【旧三井銀行小樽支店】
■住所: 〒047-0031 北海道小樽市色内1丁目3−1
■開館時間: 5月~10月は 9:30~17:00、11月~4月は 11:00~16:00 ※入場は閉館30分前まで
■休館日: 5月~10月は無休、11月~4月は毎週水曜日(祝日の場合はその翌日)
■入館料: 一般1,500円、学生1,100円
※似鳥美術館・旧三井銀行小樽支店・ステンドグラス美術館の共通の入館チケット