美瑛町(びえいちょう)は北海道のほぼ中央に位置する北海道上川郡の町。作家の倉本聰氏が脚本を務めた「北の国から」「風のガーデン」「優しい時間」といった名作ドラマのロケ地として知られる「富良野市」と、道内第2の都市「旭川市」の中間に位置しています。
美瑛町は丘陵地帯に広がる田園風景が魅力の町で、シーズンになると丘一面に広がる緑と、色とりどりの花々、青々と茂る木々で、自然の豊かさと大地の恵みを肌で感じることができることから、全国から観光客が集まる人気の観光スポットとして有名です。
美瑛町の大きさは東京23区とほぼ同じ面積で、その70%以上を山林が占めている自然豊かな町です。「日本で最も美しい村連合」に加盟しており、約15%を占めている丘陵地帯で農業・酪農が営まれている風景が美しい農村景観を形成していることで「美しい日本のむら景観百選」、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選定されるなど、印象派の絵画を見るような美しい景観が評価され、人気の観光地となっています。
美瑛町の丘陵地帯は「パッチワークの路」と呼ばれるエリアと」「パノラマロード」と呼ばれるエリアに分かれ、それぞれに有数の絶景スポットが点在しています。
美瑛駅から北へ2kmほどの場所、パッチワークの路に入ったところにある1本の大きなポプラの木は「ケンとメリーの木」と呼ばれています。この木は1972年9月から発売された日産の4代目スカイラインのイメージ広告で、ケン(陣内たけし/ジミー)さんとメリー(ダイアン・クレイ)さんが出演するCMがこのポプラの木をバックに撮影された事からケンとメリーの木と名付けられました。木の向かい側に一軒のペンションがあるだけで、他には視界を遮るものは何もなく、広大な丘陵地帯に広がる田園風景を見渡せる場所に、ぽつんと1本だけ空に向かって真っ直ぐ伸びたポプラの木が立っているのがいかにも美瑛らしい風景で、美瑛を代表する観光地になっています。
5月中旬はまだ手前の畑も耕起の真っ最中。この日はあいにく曇りで、空も遠くの山々も霞んでしまっているのが残念です。。
パッチワークの路のエリアでは、丘陵地帯の独特の地形の田畑に育つ農作物や花々が色とりどりに折り重なり、色鮮やかなパッチワークのような田園風景が広がる景観が楽しめます。
美瑛駅から北西5kmの場所にある、パッチワークの丘を静かに見守るように立つ一本の柏の木が有名な観光スポットになっています。その柏の木は「セブンスターの木」と呼ばれており、昭和51年にタバコの「セブンスター」のパッケージに起用されたことで、有名になりました。セブンスターの木と呼ばれるようになる以前は「北瑛の一本木」とも呼ばれていたようです。
5月中旬のセブンスターの木は芽吹いたばかりで、丘の畑も耕起と播種の時期のため、土が広がっています。シーズンはまだまだこれからです。
美瑛駅から北西4kmの場所にある丘の高台には「親子の木」と呼ばれる2本の柏の木があります。以前は3本の柏の木が立っていましたが、2015年秋の爆弾低気圧の強風を受け1本が倒木し、2本になってしまったそうです。親子の木は美瑛の観光スポットの中でも観光地化されていない穴場のスポットです。親子の木は近くから見るよりも、丘を見上げる場所から見るのがオススメで、大パノラマが広がる畑の中にそびえ立つように見える親子の木をシルエットで狙うのが人気のアングルのようです。
5月中旬ではセブンスターの木と同様に、まだ柏の木は芽吹いていなかったので、少し寂し気な様子でした。。
美瑛駅から南に4kmの場所にあるパノラマロードのエリアで最も夕陽の美しい場所の一つ「新栄の丘展望公園」。一面に広がる田園風景に沈む夕陽を眺めるのにぴったりの場所です。5月中旬はここもまだまだ芽が出たばかりの畑が広がっていました。
新栄の丘展望公園の近くからは「赤い屋根のある丘」も見えます。赤い屋根のある丘は美瑛町福富の丘陵地に佇む可愛らしい赤い屋根の一軒の家で「ハウス北海道シチュー」のCMで一躍有名になった観光スポットです。波打つ丘の中に存在感ある赤い屋根の家が一軒ぽっんと建っている風景は、絵画を見ているような錯覚さえ覚える景観です。
この丘陵地帯も夏~秋には色とりどりの農作物が花を咲かせています。まだまだこれからがシーズンですね。
美瑛観光のベストシーズンは6月~10月と言われていますが、ベストシーズン以外にも北海道らしい田園風景と、森や山の自然とが混ざり合う、心に沁み込んでくるような美しい景観に出会えます。
3月~5月 雪解けから耕起と播種の時期。土が多い印象です。桜前線の後に木々も芽吹いてきます。
6月~10月 農作物の緑が畑一面に広がり、山の木々も青々と茂ります。ヒマワリやサルビアなどの花や、農作物の花が一面に広がる場所もあります。
11月~2月 銀白の畑の中にそびえる木々が神々しくも見える、静かな雪景色が広がります。
美瑛の隣町、富良野にある作家の倉本聰氏がプロデュースした新富良野プリンスホテルの森にあるクラフトショップ「ニングルテラス」にも寄ってきました。ドラマ「優しい時間」のロケ地にもなったニングルテラスには、森の中につくられた木道の遊歩道に沿って自然をテーマにした暖かみのある作品を中心に取り扱うクラフトショップとカフェ等のログハウスが点在しています。
夏になるとラベンダーをはじめ、色とりどりの花が咲く風景が楽しめる富良野も、まだまだこれからがシーズンということで、ニングルテラスに咲いていた蝦夷立金花(?)の小さな花だけ撮影してきました。美瑛・富良野はこれからがシーズン。緑と濃くなる夏が待ち遠しいです。