宝石名 | アメジスト (アメシスト) |
英名 | Amethyst |
和名 | 紫水晶 (むらさきすいしょう) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | 二酸化ケイ素 |
化学式 | SiO2 |
結晶系 | 三方晶系 |
モース硬度 | 7 |
靭性 | 7.5 |
劈開性 | None |
比重 | 2.65-2.66 |
屈折率 | 1.54-1.55 |
分散度 | 0.013 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | パープル、ラベンダー、ライラック、ライトグリーン |
誕生石 | 2月 |
石言葉 | 誠実-高貴-心の平和 |
■アメジストとは?アメジストの特質について
2月の誕生石のアメジスト(アメシスト)は、石英(クォーツ)のグループに属する水晶(クリスタル)の一種で、モース硬度7の半貴石・準宝石です。
「amethyst」の名前は「酔わない」という意味を持つギリシャ語の「amethystos/アメジストス」に由来しています。
アメジストの和名は紫水晶(むらさきすいしょう)で、その名のとおりに紫色の色相を呈する水晶です。
アメジストの紫色は微量の鉄の不純物に起因しており、不純物の含有量によって、濃紫色からライラックの様な薄紫色のものまであり、ごく淡い紫色のものは「ラベンダーアメジスト」や「ピンクアメジスト」、「ローズ・ド・フランス(Rose de France)」の名称で流通していることもあります。
水晶に加熱処理や放射線処理を施して淡緑色に変化させたものは「グリーンアメジスト」の名で流通しています。
アメジストは紫外線に曝露すると退色してしまう性質があるため、色褪せを防止するためにも光を透過しない箱等に入れて収納するなど、暗所で保管するよう注意が必要です。
■アメジストの名前の由来と語源
ギリシャ神話において豊穣と葡萄酒の神とされるディオニュソス(ローマ神話ではバッカスと呼ばれる)は、悪戯半分でその日に最初に出合った人間を家来のピューマに襲わせることにしました。
その標的にされてしまったのが、月の女神アルテミスに仕えるアメシストという名の少女でした。
アメシストに迫る危機に気が付いたアルテミスは、ピューマからアメシストの身を守るために、アメシストの体を硬い水晶へと変えたのでした。
自分の犯した愚かな行為に反省したディオニュソスは、深く懺悔しアメシストであったはずの水晶に葡萄酒を注いだところ、美しい紫色の水晶が誕生したと伝えられています。
このギリシャ神話から、アメジストは邪悪な想念から目を覚ましてくれたり、感情をコントロールし、心に平穏をもたらしたり、心を落ち着かせてくれる働きがあると考えられるようになりました。
また、アメジストから作られた杯でお酒を飲むことで泥酔や酩酊による愚行を防いだり、二日酔いを防いでくれるとも伝えられるようになりました。
■アメジストの歴史
透明度が高く発色の美しい上質のアメジストは、紀元前より宝飾用の宝石として重宝され、 かつてはエメラルド、ルビー、サファイアなどの貴石にも引けを取らない価値ある宝石として扱われていました。
キリスト教などではアメジストは司教の石とされ、位の高い聖職者はアメジストがあしらわれた十字架やロザリオ、指輪などを身に着けていました。
古来より王族や貴族など身分が高い人々がアメジストを身に着けてきた歴史があるため、高貴で崇高な印象を抱く宝石でもあります。
■アメジストの産地
アメジストは水晶の一種で石英が結晶化してできる鉱物なので、世界中のいたる所で産出していますが、宝飾用の宝石ルース・裸石用として流通する透明度の高い高品質のアメジストが商業的に採掘されているのはブラジルとアフリカです。
コレクター用の六角柱やクラスターなどの原石ではブラジル、ウルグアイ、メキシコ(ベラクルス、ゲレロ)、ボリビアなどの南アメリカや、サンビア、ナミビア、モザンビーク、マダガスカルなどのアフリカで採掘されたものが流通しています。
日本国内でも宮城県の雨塚山、石川県の尾小屋鉱山、栃木県の足尾銅山などで産出しますが、現在は掘り尽くされてしまい商業的に採掘はされていません。
■アメジストの価値、色と種類
アメジストは紫色が濃いものほど価値が高く、色が薄くなればなるほど、その価値は低下していきます。
透明度やインクルージョン(内包物)の有無も価値を評価する際の重要なポイントで、インクルージョンを含まず、濃い紫色と高い透明感を兼ね備えている宝石が最も高く評価されます。
現在市場に流通しているアメジストのほとんどは価値を高めるために、より濃い色味に発色させたり、透明度を向上させるために加熱処理が施されています。
さらに高温に加熱処理すると紫色から黄色に色が変化して「シトリン/黄水晶」となることから、現在市場に流通しているシトリンのほとんども加熱処理が施されているものです。
アメジストとシトリンが混ざり合いバイカラー(1つのものが2色に別れているもの)になっている宝石は「アメトリン」の名で流通しています。
天然のアメトリンは限られた条件下でしか生成されないため、現在市場に流通している多くのアメトリンもまた、加熱処理により作り出されたものがほとんどです。
加熱処理や放射線処理を施して淡緑色に変化させたものは「グリーンアメジスト」の名で流通する一方で、無処理の状態で緑色の色相を持つ水晶は「プラシオライト」と呼ばれています。
■アメジストの石言葉が与える心理効果
アメジストの石言葉・宝石言葉には、「高貴」「誠実」「心の平和」などがあります。
石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
■紫のカラーストーン(色石)の心理効果
色名「紫(むらさき)」の語源は、日本全土に分布していた日本原種の植物の名称で、この植物の赤紫色をしている根は「紫根(シコン)」と呼ばれ、日本では飛鳥時代以前より生薬や染料として流用されていたと伝えられています。
紫根に含まれる「シコニン」と呼ばれる成分が染料となる紫根の染物は「紫根染」と呼ばれ、「藍染」や「紅花染」と並ぶ、日本三大色素の一つに選ばれています。
紫根染は古来より貴重な染料として重宝されたことから、紫色の衣服は皇族、公家、貴族などの身分の高い人々以外は身に着けることが許されない「禁色(きんじき)」に定められていた時代もありました。
このことは、大化3年(西暦647年)に制定された日本の冠位である「七色十三階冠(ななしきじゅうさんかいかん)」に深紫が最高位に定められていたことからも窺えます。
紫はいにしえより高位の色とされてきた歴史があることから、現代でもその名残から「高貴」「優雅」「高級」を感じさせる効果を維持していると言えます。
紫は自然界ではあまり見かける色ではないことから、神秘的なインスピレーションを与えたり、幻想的なファンタジーの世界を連想させる色でもあり、感性を豊かにして独創性を高めてくれる色とも考えられていますので、芸術家やクリエイターの方、スピリチュアルビジネスを生業とされる方に好まれる色でもあります。
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