パールパーツ (真珠パーツ)

【魚鱗箔とパールエッセンスの歴史】幻の北海道産イミテーションパール

ニシンの魚鱗箔を使ったイミテーションパールのネックレス

ニシンの魚鱗箔を使ったイミテーションパールのネックレス

 

1954年(昭和29年)の北海道新聞に「タネはニシンの鱗箔 ガラス玉に天プラ式のコロモ 結構庶民的夢を満たす」という目を引くタイトルの特集記事の中で、イミテーションパールのための塗料、パールエッセンスについて研究する北海道立中央水産試験場の取り組みが取り上げられています。

同記事によると、養殖のあこや真珠のネックレスは当時の価格で15万円~20万円と大変高額だったなか、イミテーションパールは300円~400円程度と庶民が手に入れやすい価格で魅力的なものだと紹介されています。

 

ヴィンテージの日本製ガラスパールビーズ (ミリアム・ハスケル)

ヴィンテージの日本製ガラスパールビーズ (ミリアム・ハスケル)

 

イミテーションパールの歴史は古く、1656年にフランスで作られた、中空の硝子の玉の内面にパール塗料を塗り、白蝋を詰めたものが世界初のイミテーションパールと考えられています。

パール塗料にはコイ科の淡水魚の鱗から抽出されたグアニンという物質の微結晶体をゼラチン溶液に分散させた、魚鱗箔と呼ばれるパールエッセンスが使われていたそうです。当時はまだ養殖真珠が誕生する前だったこともあり、庶民には高根の花で手に入れることができなかった天然真珠に変わるイミテーションパールは瞬く間に人気となったといいます。

1900年頃には欧米各国でイミテーションパールが作られるようになりました。日本には明治末期頃に伝わり、大阪商人の大井徳次郎がタチウオの鱗を使ったイミテーションパールの生産を始め、大正に入ると硝子の原玉にパールエッセンスを塗り重ねたガラスパールが作られるようになり、その後プラスチックの原玉も使われるようになりました。ちなみに、養殖真珠と同じ貝核を原玉とした貝パールやシェルパールと呼ばれるイミテーションパールが作られるようになったのは昭和40年代頃といわれています。

 

鰊の魚鱗箔で造られた人造真珠のネックレス

鰊の魚鱗箔で造られた人造真珠のネックレス

 

日本においては、大正から昭和にかけてイミテーションパールの製造・販売は重要な産業として注目を浴びていました。第二次大戦(1945年終戦)後の終戦復興期の日本にとって、外貨獲得のための主要な輸出品の一つでもありました。

この頃、北海道小樽市では輸入したパールエッセンスと、本州(主に大阪)から運ばれたとんぼ玉(硝子で作られたビーズ)を原材料にしたガラスパールが製造され、北海道真珠工芸企業組合が設立されていました。そこでパールエッセンスを現地調達すべく、北海道立中央水産試験場がニシンの鱗を原料にしたパールエッセンスの研究が行われていたことが1953年1月(昭和28年)の「北水試月報」という月刊誌に掲載された「魚鱗箔(パールエッセンス)について」と題した論文に残されています。

 

ヴィンテージ風の現代の国産ガラスパールビーズ

ヴィンテージ風の現代の国産ガラスパールビーズ

 

魚の鱗から作られるパールエッセンスは魚鱗箔と呼ばれており、主にタチウオ・イワシ・ニシンなどの魚皮や鱗から精製されるグアニンと呼ばれる物質を主体とした微結晶になります。 魚鱗箔は新鮮な魚をカゴの中に入れて振動させ、はがれた魚鱗を集めて水とともに攪拌し、どろどろになった状態のものを遠心分離機にかけて不純物を取り除いて完成させたといいます。

品質の高い魚鱗箔のパールエッセンスを作るためには、新鮮な魚の鱗が大量に必要だったこともあり、北海道ではニシンの豊富な漁場だった余市町で研究が行われたそうです。

当時、輸入に頼っていたパールエッセンスを現地で製造・調達することで、より安価で高品質のイミテーションパールを作ることができるとして期待されていましたが、奇しくもパールエッセンスの論文が発表された1953年を境にニシンの漁獲量は急激に減少、ニシンは幻の魚となってしまい事業化の夢は叶わなかったといいます。

 

鰊御殿 旧 田中福松邸

鰊御殿 旧 田中福松邸

 

北海道には江戸時代の文化年間(1800年頃)から小樽から稚内にかけて日本海側の北海道沿岸でニシン漁が行われるようになり、明治末期から大正期にかけては「一起こし千両、万両」といわれたニシン漁の全盛時代が訪れ、ゴールドラッシュならぬニシンラッシュに沸いていた時代がありました。

最盛期の漁獲高は100万t近くあったともいわれており、ニシン漁で財を成した網元が建築した立派な番屋「鰊御殿」が建ち並ぶ程でした。

 

小樽市祝津高島岬 鰊御殿と日和山灯台

小樽市祝津高島岬 鰊御殿と日和山灯台

 

小樽市祝津町に現存されている北海道有形文化財の小樽市鰊御殿に、北海道でかつて作られていたイミテーションパールが展示されている。そんな噂を聞いて小樽市鰊御殿を訪れました。

祝津の町を見渡せる高島岬の高台に建つ小樽市鰊御殿は、1897年(明治30年)に「ニシン大尽」と呼ばれていたニシン網元の田中福松により積丹の泊村に建築されたもので、1958年(昭和33年)に現在地へ移築復元され、1960年(昭和35年)にニシン漁場建築として北海道有形文化財に指定された建物です。

 

 

小樽市鰊御殿は明治から昭和初期まで、ニシン番屋として使用されていた当時の原型をとどめる貴重な鰊漁場建築です。網元の田中福松が巨万の富を注いで7年の歳月をかけて建築されたといい、北海道の風雪の厳しい気候に耐える造りになっています。一部2階建で総面積は611.9㎡(185.1坪)を誇り、住居のほか、ニシンの加工場としても使用され、全盛期には120人程の漁夫が寝泊まりしていたといわれる鰊御殿は大変立派な建造物でした。

 

鰊の鱗を原料として作った模造真珠の首飾り

鰊の鱗を原料として作った模造真珠の首飾り

 

そんな鰊御殿の一角に、ニシンの鱗から作られた魚鱗箔を使って作られたイミテーションパールのネックレスが展示されていました。

現在のイミテーションパールと比べて、真珠層が薄く、一部塗料の剥離がみられる箇所もありましたが、今から60年以上も前に北海道で作られた貴重なイミテーションパールのネックレスを見ることができて大変勉強になりました。

尚、魚鱗箔はイミテーションパールの塗料だけにとどまらず、天然由来のため化粧品をはじめ食品添加物としても利用されてきましたが、原料となる魚の鮮度によって品質が一定にならないことや、漁獲高によって魚価が変動するため原価コストの管理が難しいことなどの理由により、現在では生産されていないそうですが、ニシンが幻の魚にならなかったら、イミテーションパールの製造は北海道の一大産業のひとつとなっていたかも知れません。

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